スタカンだより

2023/05/15(月)

若き司令塔は「趣味:黒ラベル」!?黒ラベル愛でビールをもっと魅力的に変えていく仕掛け人

1977年に誕生し多くのファンに愛されながら成長を続けてきた『サッポロ生ビール黒ラベル』。実はその名前も、ファンの間で親しまれていた愛称が商品名として採用された過去があるんです。

そんなファンに支えられてきた歴史を持つ黒ラベルで、ファンとともに黒ラベルを育ててきたのが「ブランドマネージャー」というポジションの人たちです。

今回のスタカンだよりは、そんなブランドマネージャーに2020年から就任した齋藤愛子さんをクローズアップ!黒ラベル初の女性ブランドマネージャーに抜擢された若き司令塔は、いかにして“コロナ禍”という未曾有の事態に立ち向かい黒ラベルを成長させていったのでしょうか?実際にお話をうかがってきました。

異色の経歴を武器にブランドの舵を取る!

大学でもマネジメント系のゼミを専攻していたという齋藤さん

西:齋藤さんは入社されてから一貫してマーケティング畑というご経歴だとうかがいました。

齋藤さん:はい。東海北陸エリアでのワインや洋酒のマーケティングに携わったり、新設されるデジタルマーケティング室の立ち上げメンバーとなったり。私が2010年にサッポロビールに入社して以来マーケティング一筋ですね。

実はビール業界では営業職を経験してからマーケティングの担当になる人が多いので、私のような経歴は珍しいんです。

西:そうしたご経歴はブランドマネージャーとして指揮を執るにあたって何か影響があるのでしょうか?

齋藤さん:営業職で飲食店やスーパーなど“販売の現場”を知ることが経験値として強みになるのは間違いありません。ですが私もその分、ノウハウが確立されていない分野を手さぐりで“カイタク”していったり、黒ラベルなど複数のブランドで先輩ブランドマネージャーのアシスタントとして各ブランドのイズムを吸収したりと、さまざまなスキルを身につけてきたつもりです。それらの経験がブランドマネージャーとしての私の武器になったと思います。

歴代ブランドマネージャーは“誰よりも黒ラベル好き”な人!

西:前任の方々のそばで“黒ラベルらしさ”を学んでいったんですね。先輩ブランドマネージャーのみなさんはどのような方ですか。

齋藤さん:身近で見てきた私からしても「黒ラベル愛がすごすぎる人たち」ですね!

一人でも多くの人に黒ラベルのファンになってもらうのが私たちブランド担当の仕事ですが、歴代のブランドマネージャーは全員、自分自身が“誰よりも黒ラベルに惚れ込んだ黒ラベルファン”なんです。過去の担当者の中には、趣味の釣りに行くときにも毎回黒ラベルデザインのキャップを被っていくほどの人もいますよ。

そしてすごい黒ラベル愛と一緒に、黒ラベルに対しての誇りを持って働いているのも印象的ですね。みなさん黒ラベルに対する愛情と誇りと遊び心を持ちながら「どうすれば黒ラベルをもっと好きになってもらえるか」を考え抜いている。その生き様が大人としてかっこいいなと思っています。そんな人たちがブランディングチームを率いて育ててきたからこそ、「大人エレベーター」のCMも見た人に「かっこいい」と感じてもらえるコンテンツになっているのかもしれません。

「終わったと思いました」未曽有のコロナ禍で、ゼロから始めたチャレンジ

「人を楽しませるのが好き」という齋藤さんは前例にない魅力的な施策を次々と打ち出していった

西:ブランドマネージャーが一番の黒ラベルファンというのも素敵ですね!

齋藤さんは2020年から、30代前半の若さで女性初の黒ラベルのブランドマネージャーに抜擢されましたが、同じタイミングで「コロナ禍」という社会的に大きな出来事にも直面しています。過去に例のない状況で舵取りを任されて、どのように感じられていたでしょうか。

齋藤さん:誤解を恐れずに言えば、コロナ禍で「終わった…」という思いすらあったかもしれません。飲食店が営業を自粛するようになり樽生ビールが壊滅的でしたからね。歴代のブランドマネージャーが生み出してきた「黒ラベルファンとのコミュニケーション方法」の多くが実施できなくなったのは事実です。

ですが私は下を向くのではなく、「既存のコミュニケーションができないからこそ、新たな分野のコミュニケーションにチャレンジできる」と、状況をポジティブに捉えるようにしました。これまで40代の男性が担当することの多かったポジションに33歳の私が起用されたのは、会社としても「いままでにないチャレンジをしてほしい」と期待してのことだと考えました。だからこそ私自身も「思い切ったことをやろう」と腹をくくることができました。

西:今回は事前に齋藤さんが抜擢された理由なども、大人エレベーター開始時の仕掛け人でもある武内亮人本部長からうかがってきました。

当然ですが、年齢や性別という属性はブランドマネージャーとしてアサインする理由には関係ありません。齋藤さんはお客様起点で物事をとらえる能力やビジョンオリエンテッドで物語を描く能力に長けています。また、ブランドの力で世の中をより良くしていきたい、お客様の生活をより良くしていきたいという視点も持ち合わせています。ブランドマネージャーのアシスタントや他ブランドの戦略担当を担う等マーケティング部門で経験を積んだ土台があったことも大きな理由です。齋藤さんには常にお客様起点で物事を考えながらそのお客様の期待を超える新しいコトにチャレンジしてほしいと考えています。

齋藤さんがご自身で分析されたように、新たなチャレンジにも期待されているようですね。

齋藤さん:ちょっとよく書かれすぎててコメントしづらいですね(笑) 自分の直接的な評価を聞く機会はあまりないので、嬉しさと気恥ずかしさの両方です。

逆境のなか起死回生のオンラインライブが始動「人生で一番ありがとうと言われた日でした」

西:「いままでにない施策」というのはどのようなことを行われてきたのでしょうか?

齋藤さん:これまで計4回開催している無料オンラインライブイベントは最たる例と言えるかもしれません。黒ラベルは以前から、全国でイベントを開催したり音楽フェスへ協賛して感動レベルの生ビール体験を広げてきたのですが、コロナ禍でフェスの開催自体が難しくなってしまいました。そこで「リアルでの体験ができなくてもオンラインがある」ことを伝えたいと思い、YouTubeを使ってリアルタイムで配信するオンラインライブを開催し“新時代の新しい大人の楽しみ”を発信していくことを決めました。

2021年1月に第1回となる「the PERFECT LIVE 2021 –丸くなるな、星になれ。–」を開催したときには、初めての試みにも関わらず本当に多くの方に配信を楽しんでいただけました。ライブ中には1万5,000件以上のメッセージがチャット欄に寄せられたのですが、驚きだったのは「ありがとう」という感謝の言葉をたくさん頂戴したことでした。予想外の出来事に私や当時の上司も感極まってしまって、黒ラベルファンのみなさんの心を動かしたいと思って始めたイベントで私たちが一番心を動かされたな、とファンの存在の大きさを実感したイベントになりました。もしかすると、人生で一番「ありがとう」と言われた日になったかもしれませんね。

4回目の開催となった2022年7月の「the PERFECT LIVE 2022 –STAR meets STAR- by サッポロ生ビール黒ラベル」でも視聴数2万6,000以上、1万件近いメッセージをいただくなど多くの反響をいただきました。このオンラインライブで得た気づきを活かして、2023年はリアルなイベントも進化させていきたいです。

西:ファンの方々のために企画したイベントで、逆に黒ラベルメンバーがファンからの反応の大きさに感動する。両者の絆の強さが伝わってくる素敵なエピソードですね!

毎回、音楽シーンのトップランナーから注目の集まる新進気鋭まで、幅広いアーティストのパフォーマンスを無料で体感できるイベント。4度の開催で合計43,000件以上のコメントが寄せられるなど、毎回大きな注目を集めた。

“商品を売らない”ECサイト!?赤字覚悟でファンに伝えたいこと

「極端に言えばECサイトは赤字でも気にしない」と語る齋藤さん

西:黒ラベルではオンラインライブ以外にも、ファンのみなさんとのつながりを大切にするためたくさんの取組みをおこなっているとうかがっています。どのようなことをされているのでしょうか?

齋藤さん:Web上では、黒ラベルファンのための会員サイト「CLUB黒ラベル」がプラットフォームの役割を担っていますね。CLUB黒ラベルではWebキャンペーンへの応募ができたり、ディープなトークが繰り広げられる大人エレベーターのラジオ版「黒ラヂオ」が聞けたりします。

西:取材前に拝見したのですが、CLUB黒ラベル内にあるECサイト「THE SHOP」のラインナップが特に印象的でした!

齋藤さん:ビールブランドのECサイトなのにビールじゃなくてキャップやジーンズが並んでますからね(笑) これは私たちにとってTHE SHOPが“物を売る場”ではなく“体験を届ける場”だからなんです。

黒ラベルは生のうまさにこだわり続けるブランド。「飲んでうまい」は当たり前です。だからこそ、その先の「黒ラベルは『誰と』『どこで』『どんな話をしながら』『どんな気持ちになって』飲むビールなのか」という黒ラベルの持つ世界観を大切にしています。

THE SHOPに並べるアイテムも「黒ラベルの世界観の中で、ファンの心をワクワクさせられるか」を判断基準に厳選されたものばかり。これらのアイテムを使用・着用して自分を表現することを楽しむ大人がもっと増えたらいいなと考えています。

THE SHOPにはオリジナルデザインのウェアアイテムなど個性的なアイテムが数多く並ぶ

思い出してほしい、“お店で飲む生”のうまさ

齋藤さん:ファンのみなさんに黒ラベルの生ビール体験や世界観を発信するコミュニケーションとしては、東京・銀座に店舗を構える「サッポロ生ビール黒ラベル THE BAR」や2022年7月に開催したリアル体験イベント「SAPPORO BEER PREMIUM EXPERIENCE」など、実際に外食をしてもらう体験も欠かせないと考えています。黒ラベルや『ヱビスビール』などサッポロビールのビールブランド6種が揃ったPREMIUM EXPERIENCEでは、私たちサッポロビール社員がビールのサーブも担当。来場されたサッポロビールファンの方々にビールをお出ししながら、各ブランドの特徴やストーリーをお伝えしたりと直接コミュニケーションをすることができました。

来場者の中には遠方からいらっしゃってくれた方もいて、「泊まってでも参加したい!」と思っていただけたことは非常に嬉しかったです。会場内でもファン同士で盛り上がったり、中には意気投合して終了後に居酒屋に繰り出していった方々もいらっしゃいました。
また、私たち社員も久々にビールファンのみなさんがビールを楽しむ姿を間近で見ることができて、ビールメーカーのプライドが蘇ってきた思いでした。私たちもファンの方々に負けないくらいイベントを楽しんでいたと思います。

イベントでは​​齋藤さん自身もビールを注ぎながら、来場したファンと交流。「文化祭みたいで楽しかった」>当日のイベントレポートはこちら!

西:現在開催中の「STAR POINTキャンペーン」では缶の黒ラベルだけでなく特定のお店で提供されている「パーフェクト黒ラベル」を飲むことでもポイントが獲得できます。これもお店でビールを飲む楽しさを思い出してほしい、という願いからでしょうか?

齋藤さん:そうですね。家飲みでは家飲みの、飲食店様では飲食店様での楽しさがあります。どちらも黒ラベルを語るうえで欠かせない要素だからこそ、家でもお店でも黒ラベルが目指す完璧な生ビール体験を楽しんでほしいです。

目指すのは、媚びずに独自の世界観を貫く「大人のビール」

「丸くなるな、☆星になれ。」のキャッチコピーが入ったオリジナルメッセージ缶を
2023年に限定発売した

西:2023年、黒ラベルはどんな魅力が増していく一年になるでしょうか?

齋藤さん:ブランドの世界観にさらなる磨きがかかっていきますよ。

今年は黒ラベルのブランドメッセージ「丸くなるな、☆星になれ。」が主役です。「丸くなるな、☆星になれ。」は2010年からさまざまな場面で使っていて黒ラベルファンにも愛されているフレーズなのですが、これまであまり前面に出したことがなくて…。そんな名脇役を主役に据えて輝いてもらうため、先ほどのCLUB黒ラベルやSTAR POINTキャンペーンなどもこのフレーズをコンセプトに展開していきます。

とくに妻夫木聡さんが出演するテレビCMは、「黒ラベル 丸くなるな、星になれ。篇」と銘打って黒ラベルの世界観を体現する“作品”に仕上がったと思っています。全編を通してビールの味のことに言及されていませんし、15秒編に至っては黒ラベルの名前すら出ません。妻夫木さんがいて星のマークが出てくるだけで「あ、黒ラベルだ」と伝わる。そんな“大人”のCMにチャレンジしたいとは、歴代のブランドマネージャーたちとも前から話していたんです。

>テレビCM「黒ラベル 丸くなるな、星になれ。篇」の視聴はこちら!

西:齋藤さん自身が黒ラベルの世界観に惚れ込んでいるからこそ、その素敵な世界観をファンのみなさんにも知ってもらいたい!という熱い想いが伝わってきます!

ブランドマネージャーとしてそうした想いを発信する際には、どのようなことを意識されているんですか?

齋藤さん:実は「何をやるか」よりも「何をやらないか」が重要です。歴代のブランドマネージャーが駅伝のタスキのように代々つないで育ててきた“黒ラベルらしさ”に反することは、世間的に大流行しているキャンペーンなどであっても取り入れません。

「丸くなるな、☆星になれ。」というフレーズは、「大人になっても自分らしさを貫いていってほしい」という黒ラベルファンへのメッセージが込められているんです。そんな強いメッセージを発信している黒ラベル自身が流行になびいていたらファンとしてもガッカリですよね。「生ビールのうまさを実直に追求する」、トレンドに媚びずに「独自の世界観を貫く」。この2点を軸に“やること”と“やらないこと”を取捨選択することが、ファンの期待を裏切らず、期待を超えていくための唯一の道だと思っています。

西:武内本部長も、齋藤さん就任以降の黒ラベルの進化についてこう仰っていました。

齋藤さんが担当している期間はコロナ禍と重なっていたこともあり、お客様とブランドの接点が大きく変わり、今までの顧客接点戦略の見直しも余儀なくされました。そのような中、黒ラベルのビジョンをよりどころにしたブランドパーソナリティを際立たせるアクションを前例にとらわれず次々に実行することができました。デジタル領域での新たな取り組みや若年層ユーザーの伸長にさらにドライブがかかっていることは大きな成果だと考えています。

この中の「黒ラベルのビジョンをよりどころにした(中略)実行することができました」という評価がまさに、齋藤さんが“黒ラベルらしさ”のタスキをしっかりとつないでいるということですね。

齋藤さんはこれから先、このタスキがどのようにつながっていくといいと思いますか?

齋藤さん:黒ラベルがもっと「次の世代の若者たちに憧れられる存在」として世の中に浸透してほしいです。“若者のお酒離れ”という言葉が生まれたり、お酒が悪者のように扱われる場面すら出てきて、ビールやお酒の価値が疑問視されかねない時代になりつつあります。

そんな中でも黒ラベルの魅力に磨きをかけて、内面が大人になった人や「内面も大人になりたい」と思った人が飲みたくなる「大人のためのビール」だと思ってもらえるようなブランドへと進化してほしい。ビールの価値向上を牽引していくような存在になってもらいたいです。遠くない未来に黒ラベルがそんな存在になってくれていたら、私たちと同じように黒ラベルが好きすぎる「趣味:黒ラベル」な人がたくさん増えているかもしれないですね。

編集後記

今回取材にあたってコメントをいただいた武内本部長は、2010年に大人エレベーターのCMがスタートした際のブランドマネージャーで、ブランドチームを率いて現在の黒ラベルの世界観を確立させることに大きく貢献し、売上を大きくV字回復させるきっかけを作った方でもあります。2015年にはチームに齋藤さんがジョインし、齋藤さんもアシスタントとして武内本部長の背中を見ながら“黒ラベルらしさ”を学び受け継いできたといいます。

齋藤さんは取材の中で“黒ラベルらしさ”が受け継がれていく様子を「タスキ」と表現していました。これまで黒ラベルが走ってきた道も、駅伝のようにアップダウンがあったり過酷な山上りがあったり、簡単な道ばかりではなかったことは想像に難くありません。歴代のブランドマネージャーが苦難を乗り越えながら創り上げてきた大切なブランドを託される、タスキの重さが伝わってきました。

そしてそれ以上に伝わってきたのは、その重みを誇りに変えて楽しみながら「次はどんなことをやろう」と考える齋藤さんたちブランドチームの姿勢でした。毎日黒ラベルのことを考え続けて、自分たちを含めた黒ラベルファン全員をワクワクさせる世界観を創り出そうとしてくれているんですね!これからの黒ラベルブランドの展開からも目が離せません!(西 等)

齋藤愛子さんご経歴 ※2023年3月13日取材当時

2010年 サッポロビール入社。東海北陸本部にて、エリアマーケティングを3年間経験。

2013年 本社に異動。デジタルマーケティング室にてネットショップの立ち上げやウェブマーケティングに従事。

2015年 ブランド戦略部に異動し、新ジャンル・ビールジャンルを担当。

2020年 女性初でサッポロ生ビール黒ラベルのブランドマネージャーに就任

武内亮人本部長ご経歴 ※2023年4月1日時点

1997年 サッポロビール入社。家庭用営業、業務用営業に従事。以降、宣伝部にてメディア戦略担当の後、黒ラベルのブランドマネージャー担当に。「大人エレベーター」のCMを展開するなど、今に続く黒ラベル独自の世界観の礎を築いた。

2015年 「サッポロベトナム社」へ出向し、同社経営およびマーケティング部門に従事。

2020年 ビール&RTD事業部長に就任し、黒ラベル成長加速、ヱビスのコンセプトリニューアル、RTDの新商品立上げをなど指揮。

2023年 3月30日付でマーケティング本部長に就任。黒ラベルブランドマネージャー担当以来、10年以上にわたりマーケティング部門に従事し、後進の育成にも取り組む。

サッポロ生ビール黒ラベル
大人の☆生。サッポロ生ビール黒ラベル
生のうまさにこだわり続ける黒ラベルだからこそ、常に、目指すのは「完璧」なうまさ。 何杯飲んでも飲み飽きない、ビール好きの大人たちに愛されるビールへ。
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